石部の棚田 田植え祭 2025

 自然環境復元協会(NAREC)は、初代理事長の杉山恵一先生の頃より、石部の棚田のオーナー会員として参加、継続してきました。祭り当日(2025年5月24日(土))は、空模様の怪しい天気でありましたが、レンジャーズ隊員として、親子、社会人、学生など 計10名で参加しました。
 今年は、米不足、価格上昇、令和の米騒動の渦中となり、日本の米作についてそれぞれがそれぞれにいろいろな思いを持ちながら、日本の将来について考えるきっかけとなるイベントとなりました。

 例年伊豆急下田駅にて待ち合わせをしていましたが、今年は、JR三島駅に待ち合わせとし、伊豆縦貫自動車道を通って目的地まで、2時間程のドライブをして向かいました。石部の棚田には昼過ぎに到着。今年は、中腹に、キッチンカー4台が出迎えてくれ、ここで昼食をとった参加者もいました。カレーやお好み焼きなど、どれも美味しそうでした。昼食後、保存会指導者の方から作業の手順を聞いた後、5枚の田んぼの田植えを行いました。

 参加者の大半は田植え初心者でしたが、苗を等間隔に植えるために竹竿に赤い印がついた棒を用いて、水田に足を取られながらも一株毎丁寧に、また丹精込めて苗を植えてくれました。

 田植えが終わったばかりの棚田は、整然として青々として、まさしく「早苗田(さなえだ)」でした。米作りには八十八(=米)の作業があるそうですが、その中の大事な田植えの作業、2時間ほどで無事終えることが出来ました。

 これから梅雨、台風シーズンと水害が心配されます。水田の役割の中に、ダムとしての水害の防止があります。棚田がこの役割を担ってくれることを願っています。また今年はイネカメムシの収穫への影響が懸念されます。米騒動の中ではありますが、何事もなく実りある秋の収穫祭を迎えられることを願って帰路につきました。

 石部の棚田では平成14年から棚田オーナー制度という仕組みを取り入れることにより、一般の人が棚田の耕作維持の大切な担い手になっています。
 棚田には、お米を作るという役割だけでなく、美しい景観としての価値も担っています。そして水害防止機能や生態系保全といった役割もあります。
 日本の原風景がいつまでも守られ、当たり前に美味しいお米が食べられる日常が続くことを心より祈っています。

【報告】普及・啓発委員会 委員長 河野 均